足関節捻挫
足関節捻挫とは?
その名の通り足首の関節を捻挫することであり、これには内反捻挫と外反捻挫があります。内反捻挫は足首を内側に捻る捻挫で、外反捻挫は外側に捻る捻挫です。足関節捻挫のほとんどが内反捻挫であり、これは構造的に内くるぶしの方が外くるぶしよりも高い位置にあるため、また足を底屈(足の甲が前に出る)させた時に関節の不安定性が出るためと考えられています。
内反捻挫で損傷を受ける靭帯は足首の外側にある靭帯で、一番多いのは前距腓靭帯、次に踵腓靭帯の損傷になります。
受傷の多くがスポーツなどでのジャンプ動作の着地時や切り返し動作、不安定な地面などで足首が内反強制を受けることによります。
足関節捻挫は損傷の程度を3段階に分けています
- グレードⅠ(軽度):靭帯の損傷がなく、痛みや腫脹があっても軽度。RICE処置にて対処。
- グレードⅡ(中等度):靭帯の部分断裂がみられ、痛みや腫脹があり、動きの制限や関節不安定性も出る。保存療法での対処が一般的。
- グレードⅢ(重度):靭帯の完全断裂があり、強い痛みや腫脹があり、動きの制限や関節不安定性も強度。手術適応になることもある。
足関節捻挫に対する当院の施術
はじめに、上に挙げたグレードⅡやⅢの場合はまず専門医への受診をおすすめします。その上で回復がみられなかったり、回復はしてきたけど完全ではない、受傷が癖になり繰り返しているなどの場合はご相談ください。
まず受傷後、熱感や腫脹、疼痛がある場合はRICE処置とテーピングによる患部の運動制限を行います。
RICE処置とは
- R=Rest(安静)
- I=Ice(冷却)
- C=Compression(圧迫)
- E=Elevation(挙上)
これらの継続により熱感や腫脹、疼痛の軽減を待ちます。その後、早期回復と再発防止を狙い施術していきます。
足関節捻挫後は
足部の固有受容器(センサー)の感度も鈍っているため、関節軸にブレが出やすくバランスを崩しやすい状況にあります。その背景には姿勢の崩れや不適切な重心などがあります。姿勢の崩れや不適切な重心は受傷後に崩れた場合もあれば、もともと崩れていたケースもあります。いずれにしてもまずは姿勢と重心を改善することで、足関節のみならず全身のバランスを適切な状態へと近づけていきます。
そのために必要なのが、姿勢を崩す根本原因になっている呼吸を改善することです。姿勢の崩れがあるとき、人間の呼吸は必ず浅くなっています。これには内面的な問題も関係していて、不安感や恐怖心などの感情があるとき、人間は息を詰め、歯を食いしばり、腹に力を入れて身を屈めます。簡単に言うとこれが姿勢を崩すメカニズムです。
つまり、詰まった息を吐き出させない限りは姿勢の改善もなく、不安感や恐怖心などの感情も抱えたままになるため、心理的にも肉体的にも受傷を繰り返し易いのです。呼吸の改善により屈んでいた姿勢を正し、肚に抱えていた感情を吐き出し、重心の位置を適正化することではじめて全身のバランスは取れ、足の固有受容器も回復します。しかもこれらは他者の力によって修正されるものではなく、自身で問題に気付き、呼吸の意識改革や修正能力の改善をしていただくことにより変化を出すものです。施術者に依存した対症療法とは異なり、受傷者本人による根本的な解決をねらっています。
その上で必要に応じ、筋肉の緊張緩和や骨格の調整、関節の軸調整などを行い、継続的な効果をねらっていきます。