腸脛靭帯炎(ランナーズニー)

腸脛靭帯炎(ランナーズニー)とは?

腸脛靭帯炎(ランナーズニー)とは、大腿部の外側にあり膝をまたいで脛骨に付着する腸脛靭帯が、大腿骨外顆と繰り返し擦れ合い摩擦を起こすことで発症する炎症をいいます。特に長距離ランナーに好発します。

症状としては膝の外側(大腿骨外顆)周辺のランニング時の痛み、腫脹、圧痛などがあります。

腸脛靭帯炎(ランナーズニー)の誘発原因

  • 間違ったスポーツ動作
  • 大腿筋膜張筋の柔軟性の低下
  • 股関節・膝関節・足関節の可動域制限
  • 下肢の形態異常(偏平足、回内足、ハイアーチ、外反・内反膝など)
  • オーバーユース
  • 硬い地面での運動

などがあります。これらが誘因となり、ランニングなどの動作の反復により腸脛靭帯と大腿骨外顆との間に摩擦が生じ、炎症を引き起こすと考えらます。

腸脛靭帯炎(ランナーズニー)に対する一般的な対処法

一般的な対処としては、まず運動を休止し、炎症緩和対策(RICE処置)、足底板挿入、股関節や大腿の筋群のストレッチなどを行います。

RICE処置とは

  • R=Rest(安静)
  • I=Ice(冷却)
  • C=Compression(圧迫)
  • E=Elevation(挙上)

腸脛靭帯炎(ランナーズニー)に対する当院の考え方

まずはじめに、強い症状がみられる場合や長い期間症状を抱えている場合は専門医への受診をおすすめします。その上で改善があまり見られない場合や同じような症状を繰り返している場合はご相談ください。

腸脛靭帯炎(ランナーズニー)は上記の通り一般的にはランニングなどの動作の反復が原因と考えられています。ですが、同じ強度で同じ運動を繰り返し行っていても、症状が出る人と出ない人がいます。あるいは症状が出る人でも片脚には出るがもう一方の脚には出ない。もしくは両脚に出るが、片方の症状がより強いなどの偏りが多く出ます。

この差はなぜ出るのでしょう?実はここに症状改善のヒントがあります。

簡単に言うと、身体の使い方が適切であれば仮に繰り返し激しい動作を行っていたとしても症状は表れません。つまりこの症状の根本的な原因は身体の使い方にあるということです。

例えば、姿勢の崩れによる骨盤の傾斜の異常や重心のズレなどが下肢の異常運動を生むことにより、症状につながるのことが多いのです。姿勢の崩れには呼吸の浅さが関わっています。姿勢を維持するには横隔膜や胸郭の柔軟性が求められ、それらは適切な呼吸によってもたらされます。

また、着地などの衝撃吸収の際に呼吸が止まっていればその衝撃は緩衝できず、腸脛靭帯や膝、腰などにストレスを与えます。

したがって適切な姿勢や動作を維持する上で、適切な呼吸は切り離せないものなのです。

さらに言えば、呼吸が浅くなる背景には何かに対する不安感や恐怖心があり、その心理状態が決まった筋肉に依存した動作を生み、その動作を癖にしてしまうことが多いのです。

したがって呼吸の浅さや姿勢の崩れの改善を通してどこかに依存した動作の癖を改善しない限り、根本的な解決にはつながらないということです。

「腸脛靭帯炎が本当に呼吸で治るの?」と思う方も多いと思います。ですが経験上、腸脛靭帯炎(ランナーズニー)を含めたスポーツ障害を起こす方の多くは、何かに対する焦燥感や不安感、恐怖心を持っています。

腸脛靭帯炎(ランナーズニー)に対する当院の施術

当院の施術ではまず息を詰めていること、歯を食いしばって動く瞬間があること、決まった筋肉を緊張させて動いている瞬間があることに気付いていただきます。気付いた上で詰めた息を吐き出し、依存し過緊張している筋肉を緩和させ、縮んだ姿勢を伸ばし、重心を整え動作を改善していきます。

その上で必要に応じ、残った筋肉の緊張緩和や骨格矯正などを行います。

つまり当院の施術では、基本的には患者さん自身が自分の身体の問題に気付き、自分でその問題の解決方法を身につけていただくことを目的としています。