ジャンパー膝(膝蓋腱炎・膝蓋靭帯炎)

ジャンパー膝とは?

ジャンパー膝とは、その名の通りバスケットボールやバレーボールなどのジャンプ動作や着地動作を繰り返し行うことで誘発する膝蓋骨(膝のお皿)周囲の炎症や痛みのことです。膝蓋腱や膝蓋靭帯と呼ばれる膝蓋骨の下にある腱に炎症を起こすことが多いため、正式な疾患名は『膝蓋腱炎』や『膝蓋靭帯炎』と呼ばれます。特に10代の男性に多く発症します。

ジャンパー膝の出やすい部位

ジャンパー膝の好発部位は3か所

  1. 膝蓋骨下縁の膝蓋腱付着部。この部位が最も発症しやすい部位です。
  2. 膝蓋骨上縁の大腿四頭筋腱付着部。
  3. 膝蓋腱中央から脛骨(すねの骨)の膝蓋腱付着部。

大腿部にある大腿四頭筋の腱が膝蓋骨(膝のお皿)を介して膝蓋腱となり、脛骨に付着します。ジャンパー膝の出やすい部位はこれらの腱が付着する部分のいずれかということです。

ジャンパー膝の原因

ジャンパー膝の原因はバスケットボールやバレーボールなどの競技で、ジャンプやダッシュなどの動作を繰り返すことにより患部に負荷がかかり誘発されると考えられます。これは骨の成長に対して大腿四頭筋と呼ばれる太もも前面の筋肉の発育が追い付かず、大腿四頭筋が腱を介して付着する膝蓋骨や膝蓋腱、脛骨に牽引の負荷がかかり炎症を起こすためです。

また、高頻度のジャンプ動作や着地動作により大腿四頭筋の柔軟性が失われることも誘発原因のひとつになります。

ジャンパー膝に対する一般的な対処法

一般的な対処としては、まず運動を休止し、炎症緩和対策(RICE処置)、バンドの装着、大腿四頭筋・ハムストリングスのストレッチなどを行います。

RICE処置とは

  • R=Rest(安静)
  • I=Ice(冷却)
  • C=Compression(圧迫)
  • E=Elevation(挙上)

ジャンパー膝に対する当院の考え方

まずはじめに、強い症状がみられる場合や長い期間症状を抱えている場合は専門医への受診をおすすめします。その上で改善があまり見られない場合や同じような症状を繰り返している場合はご相談ください。

ジャンパー膝は上記の通り一般的にはジャンプや着地などの動作が原因と考えられています。ですが、同じ強度で同じ運動を繰り返し行っていても、症状が出る人と出ない人がいます。あるいは症状が出る人でも片脚には出るがもう一方の脚には出ない。もしくは両脚に出るが、片方の症状がより強いなどの偏りが多く出ます。

この差はなぜ出るのでしょう?実はここに症状改善のヒントがあります。

簡単に言うと、身体の使い方が適切であれば仮に繰り返し激しい動作を行っていたとしても症状は表れません。つまりこの症状の根本的な原因は身体の使い方にあるということです。

例えば、姿勢の崩れによる骨盤の傾斜の異常や重心のズレなどが下肢の異常運動を生むことにより、症状につながるのことが多いのです。

姿勢の崩れには呼吸の浅さが関わっています。さらに言えば、呼吸が浅くなる背景には何かに対する不安感や恐怖心があり、その心理状態が決まった筋肉に依存した動作を生み、その動作を癖にしてしまうことが多いのです。

したがって呼吸の浅さや姿勢の崩れの改善を通してどこかに依存した動作の癖を改善しない限り、根本的な解決にはつながらないということです。

「ジャンパー膝が本当に呼吸で治るの?」と思う方も多いと思います。ですが経験上、ジャンパー膝を含めたスポーツ障害を起こす方の多くは、何かに対する焦燥感や不安感、恐怖心を持っています。

ジャンパー膝に対する当院の施術

当院の施術ではまず息を詰めていること、歯を食いしばって動く瞬間があること、決まった筋肉を緊張させて動いている瞬間があることに気付いていただきます。気付いた上で詰めた息を吐き出し、依存し過緊張している筋肉を緩和させ、縮んだ姿勢を伸ばし、重心を整え動作を改善していきます。

その上で必要に応じ、残った筋肉の緊張緩和や骨格矯正などを行います。

つまり当院の施術では、基本的には患者さん自身が自分の身体の問題に気付き、自分でその問題の解決方法を身につけていただくことを目的としています。