呼吸と筋肉
呼吸で使われる筋肉
呼吸は筋肉によって行われます。呼気で使われる筋肉は主に腹筋群、吸気で使われる筋肉は主に横隔膜になります。ただしこれは筋肉が適切に使われた場合であり、いわば理想です。先月号にも書いた通り脳は普段から緊張している筋肉を優先的に使うため、ほとんどの方が不適切な筋肉を使って呼吸しています。
吸いすぎる現代人
私たちは日常的に息を吸いすぎてしまい十分に吐けていません。それが呼吸動作にエラーが出る一番の原因です。人間は強い生存本能により酸素摂取を最優先に生命活動を行うので当然といえば当然なのかもしれません。たとえば身の危険を感じたり不安があったりすると私たちは息を吸います。何かに集中しすぎると息を止めることもあります。本来は穏やかな波のように繰り返される呼吸の連続性はそこで絶たれ、呼吸のエラーに気づかないまま日常を過ごすことになります。
肋骨のポジション
構造的にいうと息を吸いすぎている肋骨は上に持ち上がり下部は外に広がります。本来であれば吐くことにより下がってこなければならない肋骨は常にこのポジションにあるため、使われる筋肉にも異常があらわれるのです。吐くための筋肉である腹筋群は弱り、本来ドーム状になって働く横隔膜は平らになります。体幹筋であるこれらが使われなくなることで姿勢にも悪影響が出てきます。
肋骨を下げると回復が始まる
対策はいうまでもなく息を吐いて上がった肋骨を下げること。仰向けになりお腹の上脇にある肋骨を触ってみてください。ほとんどの人が出っ張っているはず。理想はお腹との境目がないくらいフラットな状態。まずは吐くことでこのポジションを目指しましょう。吸っているときもこのポジションでいられると適切な筋肉が働くようになります。すると心身も適切に回復をはじめることになります。