深い・浅い

感情と理性

皆さんは感情で動いていますか?それとも理性で動いていますか?人間には頭脳がつくり出す理性と、心や肚がつくり出す感情があります。そして人間が動く時、必ず理性か感情が元になっています。

ただし、人間というよりも動物が動く基本は「快か・不快か」。つまり本能的な欲求が動物の動く基本になっています。

理性と感情。発生学的にみると、心や肚がつくり出す感情の方が古く、頭脳がつくり出す理性や知性は比較的新しく、新参者です。動物の動きをコントロールしているのは頭脳と思われがちですが、まだまだ新参者の頭脳には誤認識も多いうえに、どんなに頑張っても本能的欲求は理性や知性では抑えきれません。

つまり人間は感情で動きます。理性や理屈は後づけ。言い訳としてあとから取ってつけられるものです。生物の中にも頭脳を持たない生物は沢山いますが、肚、つまり腸管を持たない生物は存在しません。肚が減ったら、それを満たすために動くのが動物の基本です。

発生学的に古く、深い部分にあるのが本能的な感情。新しく浅い部分にあるのが理性や知性です。

発生学と呼吸

最近思うのは、 この「深い・浅い」は呼吸の「深い・浅い」とリンクしているのではないか ということです。つまり、知性や理性先行で頭を使いすぎていたり考え過ぎていたりする時に呼吸は浅くなり、逆に自分の感情や本能的な感覚は呼吸を深くしなければ感じ取れないのではないかと。

現代人はどうしても知性や理性を先行させなければならない場面が多く、呼吸が浅くなっているせいで感情や本能が発しているサインを見落としてしまいがちです。実は現代病の多くはここに問題があるような気がします。年々新しい病気や原因不明の病気が増え続けているのも、現代人の姿勢が悪く呼吸が浅いからではないでしょうか。

怒りたいときに怒り、泣きたいときに泣き、笑いたいときに笑う。これができれば病気にはならないでしょう。だけどこれができないのが人間社会。この時、その感情を抑えつけようとしているのが理性。知能の高い人間は理性ですべてをコントロールできるつもりでいますが、残念ながら感情のエネルギーまでは抑えきれません。

感情は目に見えないエネルギーです。その時解放できなかった感情は、エネルギー保存の法則に則り どこかに蓄積されます。そのエネルギーの多くは、その人の弱い場所に溜まり痛みなどの不具合となって表れます。腰が弱ければ腰。膝ならば膝。胃腸ならば胃腸。これらがいわゆる古傷や持病と呼ばれるものの正体です。

解決策は「息抜き」

だからこれらの解消法は、息を吐き出すことなのです。安息日、休息日、一息つく・・・。とにかく溜まった息を吐き出すこと、息抜きをすること。こんな時代だからこそ「身体の声を聞け!」、「Don’t think feel!」とかいう言葉がもてはやされますが、これらも呼吸が浅いままでは成り立ちません。正しい姿勢、深い呼吸があってこそ自分の感情・本性に気付けるし、コントロールもできるのです。

そして、何か重要な判断に迫られたとき、本能からの決断が必要なとき、必ず一呼吸置き、深い呼吸と正しい姿勢を心がけてください。