産後の骨盤矯正

妊娠中の姿勢の変化

妊娠し、お腹の中で赤ちゃんが成長していく過程で、身体の重心も大きく変化します。

多いパターンとしては、お腹が大きくなるにつれ、重心が身体の前方向に移動するため、バランスを取ろうと腰を反らしたり、骨盤を前傾させたりする姿勢になることです。ちなみにこの過程で腰痛や肩こりなどの症状が出る方も多くいらっしゃいます。

更に周期が進み出産間近になってくると、赤ちゃんは産まれる準備の為、下へと下がってきます。この過程で骨盤が開いてきます。専門的に言うと、骨盤を構成する仙骨という脊柱から続いている骨と、その両サイドを挟んでいる腸骨という骨との関節である、「 仙腸関節」が開き、赤ちゃんを産道に通す準備を始めます。

そして出産。

それにより仙腸関節だけでなく左右の恥骨を結ぶ恥骨結合を含む、骨盤全体が最大に広がります。

産後の骨盤

妊娠、そして出産により開いた骨盤はゆっくりと閉じ始めます。人によってはそのまま問題なく妊娠前の状態に戻る方もいらっしゃいます。ただし、多くの方がこの過程で妊娠前の状態には戻らず、骨盤周囲をはじめとした、各部位の痛みや不具合などを訴えることになります。

ここで大事なのは、これらの症状は決して骨盤だけの問題ではないということです。つまり、妊娠から出産の過程において変化した重心、そして全体的な姿勢の崩れが、各症状の原因になっていることが多いのです。

例えば、反った腰、前傾した骨盤、爪先重心、浅くなった呼吸などです。人間の身体は30分同じ姿勢を取っていると、その姿勢が脳や身体にインプットされるといいます。妊娠している期間に崩れたバランスは、無意識のうちに日常化していることが多いものなのです。

当院の産後の骨盤矯正

当院における産後の骨盤矯正は、上記の理由から骨盤だけに対してアプローチするものではありません。全体的な姿勢、重心、そしてそれらの大本になっている呼吸を主に調整します。

妊娠中の重心の変化に対して、多くの方が踏ん張った姿勢を取っているものです。その際に必ず息は詰まっています。ここには「お腹に赤ちゃんを抱えている」といった心理的な不安感が息を詰め、呼吸を浅くしていることも少なくありません。

また、構造的にも胸郭が押しつぶされているため、呼吸が浅くなってきます。

施術により詰まった息を通すことで呼吸が深くなり、気持ちも落ち着き、適切な姿勢がとりやすくなってきます。そのうえで残った細かい問題個所を調整します。この段階で骨盤の動きなどの問題が解決できていなければ、骨盤に対する調整を入れますが、あくまでも全体のバランスの中で見極めていきます。

可能な限り刺激が低く、かつ効果の高い施術を行います。また、施術で整えた身体を長く維持していただくために、呼吸や姿勢維持のためのエクササイズもお伝えしています。

基本的に産後の骨盤の問題は患者さんの間違った身体の使い方にあることが多いため、それを改善するのも患者さん自身の意識が重要と考えます。

当院の施術方針としては、通院当初は高い頻度での来院をお勧めしていますが、徐々に施術の頻度を減らし、最終的には施術者の調整がなくてもご自身で適切な身体の状態を維持できるようなところまで導かせていただきたいと考えています。