社会神経系とは

腹側迷走神経とは?

自律神経系には活動の際に優位な交感神経系とリラックスする際に優位な副交感神経系があります。実は副交感神経系はさらに二つに分けることができます。ひとつは親しい人(恋人や家族など)と過ごしているときなどに優位になる腹側迷走神経。もうひとつはひとりでリラックスしている際に優位になる背側迷走神経。このうち腹側迷走神経は社会神経系とも呼ばれ、私たち哺乳類のみが進化の過程で手に入れた最も新しい機能になります。

腹側→交感→背側

私たちが危機にさらされた時の反応として、まず耐性領域である社会神経系が優位に作動します。たとえば誰かに暴言を吐かれたとします。一般的にはまず笑ってごまかしたり相手をなだめたりすることでその場を収めようとします(他者や社会との関係形成)。これがうまくいかないと交感神経系が発動し、相手に応戦するかその場から離れるなどで対処します(闘争/逃走反応)。それでもうまくいかないときは背側迷走神経の反応として、その場から動けなくなったり気を失ったりして活動をシャットダウンします。さすがに暴言レベルで気を失うことはあまりないかもしれませんが(笑)、これは捕食動物が身を守るために生まれた発生学的に最も古い反応(最終手段)です。

社会神経系を適切に働かせるには?

私たち現代人は何かしらのトラウマの経験や他者との触れ合いの希薄化により、耐性領域であるはずの社会神経系の優位性が低下傾向にあります。ところで社会神経系に関わる神経は顔や頭、首などの筋肉に繋がっています。表情をつくったり首を回したりなどで、これらの筋肉を意識的に使うことは私たちの神経に良い影響を与えることができます(頭顔首への施術も)。そして何よりもリラックスした呼吸により安全を確認することが社会神経系の正常な働きにつながります。