大学時代の恩師
恩師との再会
先日、学生時代の恩師が定年退職を迎えるということで約15年ぶりにお会いしてきました。
大学入学時のこと
1993年春、私は大学入学が決まると同時にフィットネスクラブのアルバイトを探し始めました。運がいいことに私が通う大学内にフィットネスクラブがつくられることを知り、更に運良くそこのオープニングスタッフとして採用が決まりました。私は入学式よりも前に大学構内で働くことになります(笑)。
恩師との出会い
そこでその恩師に出会い、最初に受けた研修が後の私の運命を変えるものになりました。トレーニング理論、実技、運動生理学、栄養学など。どれも初めて知ることばりで衝撃を受けると同時に、その魅力に取り憑かれました。
今でも原点回帰することが
大学在学中4年間バイトを続け、フィットネス業界大手に就職し、その後治療家を志しながらもトレーナー活動は続けてきました。
トレーニングの世界と治療の世界、環境が変わるたびに出てくる課題は色々ありますが、最終的に行き着くところは最初に恩師に教わったことに回帰することが未だに多くあります。
安全面の確保
たとえばトレーニングにおいて最も重要なことは「安全面の確保」であるということ。今でこそトレーニングプログラムにおいて怪我をしにくい安全面を念頭に置いた身体づくりが当たり前とされています。当時も安全性の概念はもちろんありましたが、アスリートも一般人もトレーニングが原因のパフォーマンス低下やトレーニングそのものが怪我の原因となることが珍しくはなく、トレーニングにおける最重要事項が安全面の確保であると唱える指導者は珍しかったと思います。
基本があれば例外もある
もうひとつは「基本もあれば例外もある」ということ。これはトレーニングにおいて基本となる標準動作はあるものの、すべての人がそれに当てはまるわけではなく例外の人も存在するということ。トレーニング指導を覚えたての頃はとかく型に固執し、相手のキャパを考えずにそれを押し付けてしまいがちです。それにより安全面への考慮が足りず、不適切な指導に陥ってしまうことがあります。これはトレーニング指導に限らず施術においても同じことが言えます。基本に当てはまらない人が来たときにどうアレンジして目標を達成させるかは指導者や施術者の腕の見せ所ともいえます。
パフォーマンスピラミッド
さらに近年ではパフォーマンスピラミッドと呼ばれる概念も当時から提唱されていました。どのスポーツ競技においても柔軟性や筋力、パワー、持久力などのいわゆるフィジカルとよばれる肉体的な土台がなければ競技スキルを支えることができないというもので、当時競技練習ばかりしていた私の目を覚まさせてくれました。もちろん競技スキルを上げるにはその競技の練習をすることが一番ですが、それもフィジカルというベースがなければパフォーマンスアップどころか逆に身体を壊すことにつながりかねないのです。この考え方は2000年代初頭にアメリカの理学療法士が示したことで現在ではスポーツやトレーニングの現場でスタンダードになっています。
自然に出る呼吸を優先
そして呼吸について。トレーニング中呼吸を止めないことはフォームとともに指導させていただく重要なポイントですが、つい胸郭が開きやすい動作のときに吸い、閉じるときに吐いてというアドバイスをしがちです。この恩師には「まずは自然に出る呼吸を優先させろ」と教えて頂きました。多くの方は胸郭の動きに合わせた呼吸をするのですが、やはりここにも例外の方はいらっしゃるもので、その方にとってはそれがベストのはずなのです。それを尊重するという教えは今私が呼吸をみさせていただく際に大きな軸になっています。
本質的な健康への解釈
安全面を考え、イレギュラーな方へのアレンジを考え、相手の自然な呼吸を見ることはトレーニングに限らず人を見させていただくうえで非常に重要です。まだ情報が思うように得られなかったあの時代に、今尚通用する本質的な人間の健康への解釈を唱えていたことに、経験を積むにつれ驚かされます。
間違いなくこの恩師との出会いがなければ今の私は存在しません。
これからもその背中を
久しぶりにお会いしてもエネルギーは衰えることなく、次のステージに向けて楽しそうに語ってくださいました。
これからもその背中を追うのが楽しみです。