呼吸と自我
赤ちゃんが泣く理由
赤ちゃんは生まれて最初に「泣く」という行為をします。これは泣くことにより胎児の段階では母親からへその緒を通じて摂取していた酸素を、生まれ落ちた瞬間から自力で摂り込まなければならないためです。つまり泣く=呼吸ということですね。
赤ちゃんの発育発達は
赤ちゃんにとって呼吸の役割は酸素を摂取するだけではありません。呼吸により使われる横隔膜や腹筋などの筋肉に刺激を入れることで、少しずつ体幹を安定させたり背骨や四肢を動かせるようにしていきます。その結果寝返りが打てるようになり、ハイハイができるようになり、ついには二足歩行を行えるようになります。二足歩行により頭部を胴体の上に載せられるようになると脳が発達し始めます。赤ちゃんの発育発達は脳の発育発達と正比例の関係にあるということです。そしてその発育に必要不可欠なものが呼吸ということになります。
呼吸と姿勢の関係
二足歩行の姿勢維持はいわば呼吸が担っているともいえます。私が呼吸と姿勢は切っても切り離せない関係にあるとしつこく言うのはこのためです。二足歩行を始めたばかりの赤ちゃんの呼吸と姿勢は完璧で、使うべきところを適切に使っているので身体の機能も正常に働いています。皮肉なことに脳が発達し賢くなりすぎるといつしか呼吸にも姿勢にも自我があらわれはじめ、不適切なものになってしまう。成長の過程で思考や感情が生まれますからね。
思考や感情=自分ではない
もちろん人間として自我である思考や感情は必要なもの。ただ現代人の病の多くは自我の高まりによる呼吸と姿勢の崩れが原因のように感じます。発育の順番で考えれば肉体の根幹をなすのは呼吸であるはず。自我に振り回されすぎると肉体が不在になります。本来は肉体あっての自分。自分の呼吸を見つめる時間を大事にしましょう。