息が静まる

息の上がり下がり

「息が静まる」という言葉があります。「静まる」は「鎮まる」とも書きます。どちらも同じような意味で使われていると思いますが、個人的には「鎮まる」もしくは「沈まる」と書いてもいいのかなと思っています。なぜかというと、文字通り息は沈めていたいから。逆に「息が上がる」という言葉もありますよね。激しく身体を動かし息切れしているような場面で使われます。

これらの言葉の通り息は上がったり沈んだりします。これは単なる言葉の例えではなく実際に呼吸する身体の部位を表しています。たとえば息が上がっているときは身体の上の方で呼吸しています。「肩で息をする」という言葉がありますが、まさにその状態。逆に「息が鎮まる(沈まる)」状態というのは身体の下の方、つまり下腹部のあたりで呼吸しているということになります。

息=氣

ちなみに「息」と同義で使われる言葉に「氣」があります。「氣(息)を鎮める」「氣(息)が合う」「氣(息)が乱れる」など。「氣」とは東洋的な古来からの発想で目に見えないエネルギーのこと。おそらく氣を体内でコントロールする際に息を使うので同義でとらえられているのだと思います。そして氣にも上がったり下がったりがあり、緊張したときに「アガる」や「上氣する」と言ったり「氣分が落ち着く」や「氣持ちが据わる(座る)」などで氣分が鎮まっていることを表したりします。

呼吸の話に戻ると、氣持ちを落ち着かせるために息は鎮めていたいのです。下腹部と書きましたが、骨盤の中で呼吸するくらいのイメージ。人間は不安があるとすぐに息が上がります。普段から身体の深い部分で呼吸する癖をつけておきたいですね。